高校や大学などに入って建築を勉強していく中で、「英語力が必要なのか」と思う建築学生の方は多いと思います。
現在日本では人口減少に伴い、建築の利用者の減少が予測されています。
英語力を身につけて日本以外でも働けるようになった方が良いという話もよく聞く内容です。
しかし、本当に建築を学ぶ人に英語は必要なのでしょうか?
そこで今回は海外の大学院に留学し、建築学を学んでいた筆者が建築学生が英語を学ぶメリットと必要性について解説します。
筆者の英語力の参考として、完全非ネイティブから海外大学院留学に加え、TOEIC880点を取得しています。
それでは、自身の体験を元に解説していきます。
建築を学ぶ人は英語力が比較的低く、英語ができると差別化できる
そもそもなのですが、建築を専攻する学生は比較的、他業界と比べて英語力が低いです。
TOEIC Listening & Reading Test 公式データ・資料|【公式】TOEIC Program|IIBC (iibc-global.org)
こちらはETSが発行しているTOEICの公式データです。
専攻科目で見てみると、建築が含まれる工学専攻の人は平均スコアが578点とその他を除くと最下位です。
反対に、その他の専攻の人の平均は全て600点を超えています。
建築を専攻する人は英語力が比較的に低いことが分かります。
そのため、建築学生が英語ができるようになると、他の学生と差別化をすることができます。
建築ソフトの理解度が格段に上がる
建築学生が英語を学ぶことで得られるメリットの中で、間違いなく建築ソフトの理解度が上がることが一番です。
英語力があると外国の方と話したり、グループワークなどで活躍するということが真っ先にイメージされる方も多いと思います。
しかし、本当に建築学生の英語力が発揮されるのは対人ではなく建築ソフトや情報入手などのインプット系です。
理由として、近年主に利用されている建築ソフトは海外で作成されたものが多いためです。
建築ソフトの中にはまだ日本語に対応していなかったり、不自然な日本語に翻訳されているものもあります。
例えば、近年トレンド傾向にあるBIM ソフトウェアのArchicad はヨーロッパの会社で開発され、RevitやAutoCADもアメリカの会社で発明されました。
これらは日本語対応していますが、ソフトの操作が分からない場合は日本語だけでは検索しても分からないケースがあります。
こちらは同じく有名なソフトであるRhinoceros 内で使用できるGrasshopperという機能の操作画面ですが、完全に英語でのみ使用可能です。
同様に、デジタルデザインの中ではPythonやC#などのプログラミング言語を使用するケースもあります。
プログラミングも言語は英語なので、そもそも英語に慣れていないと画面を見るだけでも辛いと思います。
実際、筆者が英語が全くできない時は英語であることで心理的ハードルが非常に高かったです。
このように、英語力があると日本語では分からない部分まで建築ソフトを理解したり、情報収集することができます。
海外の情報を英語で取得することができる
こちらも先程の建築ソフトの理解度に似ていますが、英語力があると建築関係の海外の情報を多く得ることができます。
例えば、建築の事例などを調べる際にも日本語の海外の建築を解説しているサイトは、上のような同じ建築を解説している海外サイトと比較して情報量が少ないことが多いです。
ヨーロッパなどは日本に比べて英語が普及し一般化しているので、英語圏だけでなくそれらの国々などの情報も英語で多く取得できます。
また、日本と異なる建築仕様や構造、文化背景など様々なことを知ることもできるので、自身の建築に対する固定観念を変えてくれるきっかけにもなります。
実際に筆者も多くの事例などを参考にする際は、日本語のサイトだけでなく、海外のサイトも利用し、不足する情報を補っていました。
留学に挑戦できる
英語ができ、留学に挑戦することができるのも建築を学ぶ人にとってはメリットが多いです。
海外に留学していれば、日本と異なる建築に関する知識を身につけたり、海外で働くきっかけになることにも繋がります。
また、筆者の経験から海外の建築学生との協働は特に重要だったと考えています。
筆者の留学先であったヨーロッパでは、多種多様な人達と様々なグループワークで協働をしました。
彼らは高校卒業後にそのまま進学するという人だけでなく、働いてから大学や大学院に入る人も多いです。
筆者は23歳の時に大学院に留学していましたが、周りの人達はほとんどが25歳以上で30歳を超えている人も珍しくありませんでした。
そのため、異なる建築の価値観を持つだけでなく、多くの経験がある人達と共に学習、協働できることは大きな成長に繋がります。
日本で英語の授業を取る選択肢ができる
建築分野に限った話ではありませんが、大学などでは英語で行われる授業があります。
そのため、英語ができない場合は必然的に英語で行われる授業を受ける選択肢がなくなります。
日本語の授業のみ選択肢にある学生と比べて多種多様な授業選択をすることができるので、より自分にあった学習ができるようになります。
また、授業の選択肢が増えるだけでなく、グループワークの授業などで留学生との交流も大きなメリットになります。
就職で有利
英語ができる建築学生は就活でも有利に働くことが多いです。
日本の多くの建築業界でも日本の人口減少などの問題から、海外のマーケットをシェアに入れているところが増えています。
そのため建築の専門性があり、英語力ができる国際性をもつ学生は、会社側にとっては非常に魅力的です。
筆者の就活の際には通常の会社の部門だけでなく、国際部門などのにも声をかけてもらうこともあり、選択の幅を広げることもできました。
メリットと必要性のまとめ
建築を学ぶ人が英語ができるメリットと必要性のまとめとして、
建築を学ぶ人は英語力が比較的低く、英語ができると差別化できる
建築ソフトの理解度が格段に上がる
海外の情報を英語で取得することができる
留学に挑戦できる
日本で英語の授業を取る選択肢ができる
就職で有利
の6つを紹介しました。
実際に筆者が使用していた英語参考書・学習法
ここに筆者が建築学生時代に行っていた英語勉強方法を残そうと思います。
筆者が初めてTOEICを受けた点数からの成長過程で残します。
一番最初の点数は300点前半でした。
TOEIC300点残半の時
この時はTOEIC350点に届きませんでした。
そのため、基本的には基礎的な部分である単語と文法のみを集中的に学習していました。
このときはリスニングは聞いてもチンプンカンプンだったので、勉強すらしていませんでした。
使用していた単語帳は金のフレーズです。
通称金フレですね。
短いフレーズと共に単語を学習するスタイルでした。
この時はひたすら分からない単語に付箋を付けて、取れるまで繰り返すという作業をしてました。
英文法はこちらの大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】を使用していました。
私は当時本当に英語が苦手だと感じていたので、中学レベルの文法から始めることにしました。
この本では英語初学者にも非常に分かりやすく中学校レベルからの基礎を説明していたので、非常に助けられました。
TOEICの文法対策としてはこの文法特急を使用していました。
小さくて簡単に持ち運びができ、TOEICで頻出される文法のみがまとめられているのでTOEIC対策として非常に無駄がなくて良かったです。
TOEIC400点~500点台の時
TOEIC400点を超えてから、本格的に英語の勉強を始めていきました。
この時からリスニングにもしっかりと向き合い始めるようになりました。
英単語帳は金のフレーズからこちらの金のセンテンスに乗り換えました。
金のセンテンスは金のフレーズから単語数が増加されており、さらに複数の単語が1つの文としてまとめられているので実際に分を読解しながら英単語を暗記することができました。
文の中に単語があるので読解力も身に付きました。
自分は文の単語を全て暗記するだけでなく、文の文法も全て理解できるようにしました。
文法の解説などは載っていないですが、文をそのまま検索すると色々説明しているサイトがあるのですぐに解説を見ることができます。
文法はこちらの一億人の英文法を使用していました。
こちらは受験や資格のためではなく、日本人が英語を根本的にできるようにするために作られた1冊になります。
筆者はこの本にTOEIC500点や600点を超えたあたりにも非常にお世話になりました。
根本的な部分の英文法を学ぶことは、短期的にTOEICなどの点数は劇的には上がりませんが、長期的に見ると間違いなく英語力は伸びます。
そのため中学レベルの英文法が分かる人はこの1冊があれば英語の最低限の文法はこの1冊で完璧になります。
TOEICの対策としては、究極のゼミシリーズを学習していました。
正直基礎的な英語力とこの4冊があればTOEIC700点レベルまではTOEICに関しては他にはいらないと思います。
パート1~4はリスニングでパート5,6は文法、パート7は読解になります。
この時のリスニングの勉強方法としては最初に解いてみて、その後リスニングの英文を1節ごとに完璧にします。
具体的には1節を英文を見ないで聞いてみてその後に聞き取れなかった部分を確認し、もう一度見ないで聞いてみます。
そして見なくても1節を全て聞き取れたら次の節で同じことを繰り返します。
リーディングの長文の勉強は基本的に読んでみて分からない部分を全て調べる形式で行っていました。
単語が分からなければ参考書の解説や検索で調べて参考書のページの隅にメモしたり、長文の文法や語法も同様にメモしていました。
そして次の日などに同じ長文を読んでみて、全てわかるようになるまで毎日繰り返していました。
TOEIC600点~700点台の時
TOEIC600点~700点台の時はTOEIC400点~500点の時にしていた参考書や勉強法に加えて、追加で様々な勉強法を行いました。
特にこの頃から英会話などの実践的な英語学習が増えていきました。
この時に使用していた英単語はDUOになります。
この単語帳は高校生向けですが、英会話などの英語の実践的な部分の基礎固めとして非常に優秀でした。
先程の金のフレーズと同様で、複数の単語から構成される文があり、その例文を通して単語を覚えていくという単語帳になります。
魅力的なポイントとして、この使用されている例文は本当にそのまま日常で使える内容になっています。
そのため単語を覚えながら、実際に使われているイメージをすることができるようになります。
また、後ほど紹介しますが、TOEIC800点を超えてからはこの例文を丸暗記することで英会話では非常に話せるようになりました。
リーディングの勉強ではこちらも高校生向けなのですが、やっておきたい英語長文シリーズを使用していました。
高校生向けですが、大学受験の参考書なのでTOEICの長文よりも難しいです。
TOEICだけではやはり英語力は限界があるので、このようなレベルの高い参考書の長文を完璧にすることで、TOEICの長文は本当に楽になります。
300が一番分量が少なく、難易度も低いです。逆に1000などは分量が非常に多く、かつ難しいです。
筆者は300から全てやりましたが、正直500か700から始めてもいいと思います。
リスニングの勉強の一環で英語耳を使用していました。
この参考書は英語の発音をしっかりと学ぶことでリスニング力を向上させるという内容になっています。
発音できない音は聞き取れないという考えから、実際に使用してみて今まで曖昧にしていた細かな発音が理解できるようになり、格段にリスニング力が向上しました。
この頃からNetflixの英語洋画やアニメを見てリスニング力を向上させていました。
Netflixの良い点として、PC版Goofle Chrome限定ではありますが、字幕を日本語と英語を同時に表示することができます。
映画やドラマなども見ながら英語学習ができるので、楽しみながらできるのが嬉しいです。
新しくこの時期に英語のアウトプットも開始しました。
アウトプットとして一番最初に使用したのは話すための瞬間英作文シリーズです。
これらの参考書では、日本語から英語に瞬時に翻訳して話すことで英会話の基礎を習得することができます。
オンライン英会話をする前にこれらの参考書を始めたのですが、おかげで最初から最低限の会話を講師とすることができました。
学習する流れとしては、どんどん→スラスラ→バンバンになります。
どんどんでは中学英語の文を日本がから英語に瞬時に訳して話す練習をします。
スラスラでは、どんどんで使用した様々な文型や文法がシャッフルされており、次に翻訳する分がどのような構造化予想できないようになっています。
バンバンでは基本的な動詞を活用しているため、表現の幅をさらに広げることができます。
このシリーズを完璧にすることで、英会話の基礎は十分です。
瞬間英作文に加えて、オンライン英会話も始めていました。
自分は一番最初に始めたのが上の画像のネイティブキャンプになります。
このオンライン英会話は他の会社とは異なり講師の予約が必要ないこと、一日に無制限で値段が変わらずにオンライン英会話ができます。
加えて比較的に料金も他会社よりも安いです。
ただ、オンライン英会話であれば正直なんでもいいとは思います。
自分は先程の瞬間英作文で学んだことを実際に外国人と話すことで実践していました。
間違いなく、実際に英語を外国人と話すことは英語を使えるようになるのであれば必須です。
TOEIC800点以降~
TOEIC800点を超えてからはTOEICに関する勉強は全くしていません。
これまでの参考書や勉強法に加え、より実践的でさらに難易度の高い参考書や勉強方法を行うようになりました。
現在も勉強中ですが、英検1級やTOEFLなどレベルの高い英単語をTOEIC800点以降は中心に使用しています。
これらは非常に学術的な英単語が出てくるので難易度は跳ね上がりますが、日常的な単語をマスターしている人には是非挑戦してもらいたいです。
先程もでてきましたが、こちらはDUO英単語の560個の例文集をまとめた単語帳になります。
DUO本体にも似た付録があるので、そちらでも同じことができますが、好きな方で大丈夫です。
筆者はこれを使用し、DUOの例文を日本語から英語に瞬時に訳して口に出す瞬間英作文を行っていました。
また口に出すだけでなく、実際に書いてみてスペルなども完璧にしていました。
これは先程も紹介した話すための瞬間英作文の応用になります。
これらの例文を日本語から英語に訳せるようになれば、基本的な英会話、ライティングはできるようになります。
560個と非常に例文の数は多いですが、必ず英語上達に繋がります。
この時から本格的な英作文も始めています。
私は上のサイトにある英検1級のレイティング予想お題をもとに200~240文字程度で作成していました。
その後、英語添削ツールやchatGPTなどを活用して誤字脱字を発見したり添削などをしてもらっていました。
全部は紹介できていませんが、今回の筆者の英語学習に使用した参考書と勉強方法は以上になります。
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