建築学生は、就職活動や大学院入試などで、ポートフォリオを作る機会があると思います。
そこで今回は、様々なポートフォリオを参考にできるサイトを5つ厳選して紹介します。
また、ポートフォリオを作る際のコツも解説します。
おすすめのポートフォリオ参考サイト
今回紹介する5つのサイトは、3つは国内向けで、2つは海外向けのサイトになっています。
国内の他の学生や、多くの建築家のポートフォリオを見ることは重要です。
ただそれだけでなく、海外の人のポートフォリオを見ることも、新たな発見があるので積極的に見ることをおすすめします。
国内向け
まずは国内向けのサイトを見てみましょう。
issuu
Issuu | Create Interactive Flipbooks on our Digital Publishing Platform
issuuは、アメリカで作られた多くのデザイナーが、自身の作品を投稿することができるウェブサイトになります。
海外で作られたissuuですが、日本でも使われており、多くの建築学生も自身の作品やポートフォリオを投稿しています。
そのため、日本の学生だけでなく、海外の作品も簡単にアクセスできるため、このプラットフォームだけで国内外の作品を網羅することができます。
プラットフォーム上では、投稿されたポートフォリオを本のようにして見ることができ、とても見やすいです。
ポートフォリオを調べたり、見るのも登録する必要がないので、すぐに使えることができます。
まずはissuuのホームページに行きます。
すると、上の画像のような画面がでてきます。
左上に検索タブがあるので、そこから調べたい内容を入力します。
今回は、「建築 ポートフォリオ」と入力しました。
すると、「建築 ポートフォリオ」の検索結果が出てきます。
クリックすることで、見たい作品を見ることができます。
今回は、ランダムに1つの作品を見てみましょう。
すると、作品を見るページになります。
まるで本物のページをめくるようにポートフォリオを見ることができます。
海外の作品も検索してみましょう。
今回は、「architecture portfolio」と入力し、検索しました。
すると、海外作品が検索結果としてでてきました。
今回もランダムで作品を見てみます。
このように、海外のポートフォリオも閲覧できます。
BEAVER
BEAVER | 建築学生がまなび、つどい、つながる場 (beaver-archi.com)
BEAVERは、日本で建築学生や設計者に、ソフトの使い方など、有益な情報を発信しているウェブサイトです。
その中に、建築学生が自身の作品を投稿できるプラットフォームがあり、多くの建築学生が自身の作品やポートフォリオを投稿しています。
特徴として、フリーワードで検索できるだけでなく、建築用途・使用ソフト・投稿者の大学別にフィルターをかけて検索できます。
さらに投稿された作品が、どれだけ他の人にいいねされているかや、閲覧回数が表示されるため、多くの人に評価されている作品がすぐに分かります。
投稿者のコメントも見ることができ、見る側と投稿者の距離が、近く感じられるのも良い点です。
まずはBEAVERのホームページに行きます。
すると、上の画像のような画面がでてきます。
その後、左上の「設計作品を探す」をクリックします。
すると、作品の検索画面が出てきます。
ここでは、ビルディングタイプ・使用ソフト・学校別・フリーワードで作品を検索することができます。
ビルディングタイプでは、様々な建築用途に指定することができます。
使用ソフトを選択では、作品を作るのに使われたソフトを指定できます。
学校を選択では、投稿者の学校を指定することができます。
集合住宅で検索してみました。
すると、集合住宅の作品が多く出てきました。
それぞれの作品の右下に、いいねの数と閲覧回数が表示されています。
今回は、いいねと閲覧回数が多い作品を見てみます。
このように、作品を見ることができました。
このように、タグと投稿者コメントがあるため、関連している他の作品を見たり、投稿者の考えていることを見ることもできます。
Pinterestは、アメリカに拠点を置いて運営されている、画像や写真の共有サイト・アプリです。
日本だけでなく、世界でも非常に人気があり、多くの人に使われています。
そのため、すでに使っている人や、知っている人も多いでしょう。
Pinterestは、様々な画像を探すだけでなく、実は参考にするポートフォリオを探すのにも良いツールです。
Pinterestの中でポートフォリオを探すこともできることに加え、場合によってはそのポートフォリオがあるウェブサイトに行くこともできます。
そのため、ポートフォリオ投稿サイトにない作品を探すのにとても役立ちます。
まずはPinterestの公式サイトに行きます。
Pinterestを使うには、ログインか無料登録する必要があります。
アカウントがまだない人は、無料登録してアカウントを作成してください。
ログイン、もしくはアカウント作成後、上に検索タブが表示されます。
そこから自分の検索したい内容を入力します。
今回は「建築 ポートフォリオ」と検索します。
すると、「建築 ポートフォリオ」の検索結果が表示されます。
今回は、一番左上に表示されている画像を見てみます。
すると、このような画像が表示されます。
今回の場合、この画像にウェブサイトのリンクが設定されています。
こちらが、リンク先のウェブサイトになります。
この先のウェブサイトでは、画像のポートフォリオを、より詳細に見ることができます。
このように、ポートフォリオの投稿サイトでは見ることのできない作品を、探すことができます。
Pinterest上で、作品を見ることもできます。
見たい作品をクリックします。
画像が表示されるので、拡大表示するを選択します。
すると、投稿された画像を見ることができます。
パソコン上では、Ctrlキーを押しながらホイールを回すことで、画像を拡大縮小づることができます。
海外向け
次は海外のポートフォリオを中心に見ることができる、2つのウェブサイトを紹介します。
海外向けなので検索する際に英単語を入力しますが、難しくはないので積極的に活用しましょう。
Behance
Behanceは、Adobeが運営しているクリエイターが自身の作品やポートフォリオを公開することができるショーシャルネットワークサービスです。
投稿者は、見る人から評価やコメントをしてもらうことができ、場合によっては仕事をもらうことができます。
一般の人もクリエイターの作品を見ることができ、アイデアやインスピレーションを得ることができます。
投稿されている作品やポートフォリオは、ウェブサイト上でリアルな本を、スクロールするように閲覧することができます。
世界的に有名なAdobeが運営していることもあり、世界中で利用者も多く、投稿されている作品やポートフォリオが多いです。
いいね数や閲覧回数も確認できるので、人気な作品がすぐに分かるのも嬉しいポイントです。
まずはBehanceの公式サイトに行きます。
すると、上の画像のようなページが出てきます。
ウェブサイトの上の方に検索タブがあるので、英語で検索したい内容を入力します。
今回は「Architecture portfolio」と入力しました。
すると「Architecture portfolio」の検索結果が出てきます。
1つ1つの作品の右下に、いいね数と閲覧回数が表示されています。
世界中で使われているので、閲覧回数も非常に多いです。
今回は、いいね数と閲覧回数が多い作品を見てみます。
このように、海外のポートフォリオを見ることができます。
今回閲覧したポートフォリオは、こちらになります。
Coroflot
Coroflotは、クリエイターやデザイナーが、仕事を探すために自身の作品やポートフォリオを投稿することができる、海外のプラットフォームです。
仕事探しがコンセプトにあるため、投稿されている作品やポートフォリオは比較的レベルが高いです。
学生が作成する作品とは、少しテイストは異なりますが、新しいアイデアを得るのに役立ちます。
しかし現段階では、ウェブサイトのサーバーの問題なのか、多くのサーバーエラーが生じるときがあります。(2024年3月現在)
そのため、多少サーバーエラーで、つながるがるまでに時間がかかる場合があります。
まずはCoroflotの公式サイトに行きます。
すると、上のような画面が出てきます。
時々このようなサーバーエラーが起きることがあります。
その際にはリロードしたり、一度前のページに戻ったりしてみましょう。
画面左上のDiscoverをクリックします。
すると、様々な作品を検索する画面が出てきます。
左側の作品の種類から、建築のArchitectureをクリックします。
すると、建築関連の作品がでてきます。
スクロールし、見たい作品をクリックします。
すると、このように作品を見ることができます。
ポートフォリオを作るコツ
ポートフォリオを作る際に、いくつかのコツがあるので解説します。
目的によって必要な用紙サイズ・向きを調べる
ポートフォリオは、提出先の団体や企業によって、提出する用紙サイズが指定されていることがあります。
特に企業の場合、自身のポートフォリオの要約版のサマリー(自身の作品を1~2枚程度にまとめたもの)は、用紙サイズが指定されている割合が高いです。
場合によっては用紙が横向きや縦向きどちらかに限定されている場合もあります。
そのため、ポートフォリオを作成する際に、前もって自身の興味のある企業や団体の提出要件を確認しておきましょう。
自己紹介ページを入れる
ポートフォリオには、自己紹介のページを入れることが重要です。
特に就職活動の場合、自身の作品も重要ですが、それと同じくらいこの人と一緒に働きたいかが重要になります。
そのため、自身の写真やこれまでの経歴、課外活動、趣味などを入れるのをおすすめします。
こちらは、日本大学大学院の平野美奈さんのポートフォリオです。
最初の2ページで、自身の写真・趣味・時系列活動過程などを載せており、自身の人柄を分かりやすく説明しています。
このように自身の人柄を、ポートフォリオに取り入れることで、見る人の印象に残せるようにしましょう。
受賞歴や資格を載せる
もしコンペなどで賞をもらったり、資格を取得している場合には、履歴書だけでなくポートフォリオにも載せましょう。
見る側にとっては、履歴書とポートフォリオを往復してみることは負担になることや、見逃すこともあるので、アピールするべき価値があると感じる場合には、自己紹介の一部に記入しましょう。
デザインポリシーを載せる
自身の設計で心がけてきた、デザインポリシーを載せるようにしましょう。
デザインポリシーを載せることで、自身がどのようなことを考えながら設計するのかを伝えることができます。
ここで注意が必要なのが、自分の載せる作品全てに共通するデザインポリシーにすることです。
もし、デザインポリシーに書いた内容が設計に反映されていない場合、見る人は一貫性がないと感じてしまいます。
こちらは、福井大学大学院の川畑奨太さんのポートフォリオです。
最初の自己紹介の部分で、デザインポリシーに該当する、自身の設計理念を載せています。
このように、始まりにデザインポリシーがあると、読み手も設計の方向を最初に感じながら作品を見れるので、最初に入れるのをおすすめします。
スタイルを統一する
スタイルを統一することも大事です。
例えば配色やレンダリングなどのテイストを全ての作品で統一することで、自身の特徴やユニークさを出すことができ、印象に残りやすくなります。
過去の作品まで統一させるのは大変ですが、するだけの価値はあります。
マサチューセッツ芸術大学、川越祥子さんのポートフォリオを見る
こちらは、マサチューセッツ芸術大学、川越祥子さんのポートフォリオです。
見てもらうと分かりますが、最初から最後まで一貫して配色や質感が統一されています。
このように、スタイルを統一することは印象に残る上で、重要な要素になります。
文字はほとんど読まれない
企業や団体は、送られてくる数多くのポートフォリオを、見る必要があります。
面接の際のポートフォリオ発表でも、場合によっては5分や10分程度で学生のポートフォリオを聞きながら見ることになります。
そのため、1人1人の作品のびっしり書かれている文字を読むことは、よっぽどのことがない限りはありません。
そのため、自身のポートフォリオに本当に必要な情報の取捨選択をする必要があります。
ポートフォリオを作る際には、自身が読み手となり、客観的に見る必要があります。
家族や友人に見てもらうのも非常に効果的です。
以外にも、自身の分野と関係ない人に見てもらった方が、分かりにくいところが判明するので、意匠設計や建築分野に関係ない人にも見てもらうと良いでしょう。
パースや図面などのビジュアルに文字を重ねる
多少ビジュアルが悪くなっても、パースや図面に文字を重ねることが良い場合が多いです。
理由としては、文字だけを見ると読み手が理解しにくいことに加え、そもそも文字を読まない人が多いからです。
パースや図面に文字を重ねることで、図解のような説明になり、読み手が楽になります。
また、文字のスペースを減らせるので、パースや図面のサイズを大きく取れることもメリットの1つです。
特にポートフォリオの要約版のサマリーでは、スペースが限られるので非常に有効な方法です。
こちらは、日本大学のAnzai Shotaさんのポートフォリオです。
1つ1つのパースや図面に、多くの情報が重ねて書かれています。
これにより、情報とビジュアルが融合され、読み手が1つ1つの項目を、見てすぐに理解できるようになっています。
視線移動を意識する
読み手の視線移動を意識することも重要です。
よく起こる問題として、読み手がどの順序で読み進めれば分からないことが起きます。
そのため、それぞれの項目に番号を振ったり、線やマージン(余白)を入れて視線の順序の道を作ることが重要になります。
デジタル・手書き・模型など様々な表現を入れる
デジタル・手書き・模型など様々な表現を入れることで、色々な手法ができることをアピールすることができます。
アイントフォーヘン工科大学の高橋一馬さんのポートフォリオを見る
こちらは、アイントフォーヘン工科大学の高橋一馬さんのポートフォリオです。
デジタルに加え、手書き・模型が使われており、幅広い手法を使えることが伝わってきます。
文字サイズは最低でも6ポイント
文字サイズは、どんなに小さくても、最低で6ポイントまでにしましょう。
読み手は、学生のような若い人ではなく、年配の方々が多いです。
その際に文字が小さすぎると、老眼などが原因で、見にくいこともあります。
6ポイントでも正直ギリギリなので、筆者は基本的には6~8を最低ラインに設定することをおすすめします。
外枠に余白を作る
外枠に余白を作るようにしましょう。
理由としては、印刷時に余白がないと一部欠けたりトラブルが生じやすいからです。
目安としては、最低5m程度がおすすめです。
ホッチキスや穴を作る場合には、1cmは最低でも確保するようにしてください。
共同作品は自分が主体ではない場合以外は載せない
共同作品は、自分が主体ではない場合以外は載せないようにしましょう。
筆者は実際に、組織設計事務所の人事の人に直接話を聞いたことがあるのですが、共同作品は基本的には見ないと言っていました。
もちろん全ての企業でそうではありませんが、個人作品の方が確実にしっかりと見てもらえます。
もし共同作品を載せたい場合には、明確に共同作品での自分のポジションを記載するようにしましょう。
50%の完成度でもいいのでとりあえず完成させる
ここまで様々なコツを解説しましたが、とりあえずは不完全でもいいので早めに完成させてみましょう。
その後、色々な人にアドバイスをして、少しずつブラッシュアップしていきましょう。
実際、1度で時間をかけて完成させるよりも、1度適当に作って他の人からアドバイスを取り入れて少しずつ改善していく方が完成度は高くなります。
また、行きたい企業のOB訪問でもらったアドバイスを取り入れることも非常に重要です。
噂ではありますが、OB訪問で言われた改善点を入れることで、ポートフォリオを見られる際に志望度が高いと認識してもらえるという話もあります。
中にはOB訪問の際に、その年の即日設計のテスト内容を教えてもらえることもあるそうです。
まとめ
今回は、建築学生向けのポートフォリオ参考サイト5選と、ポートフォリオを作るコツを解説しました。
是非色々な情報を参考にして、自身のポートフォリオの作成に役立ててください。
今回は以上になります。