今回は、実際に名建築のサヴォア邸(Villa Savoye)に訪れました。
そこで、実際の写真を使いながら、サヴォア邸の特徴やチケット予約方法を解説します。
チケット予約方法
オンラインでチケットを予約する方法を見てみましょう。
今回はスマートフォンから予約していますが、パソコンからでも流れは同じです。
購入したチケットは、購入日から1年間有効です。
現地で3€追加で、オーディオガイド音声機械を借りることもできます。
また、金曜日の午後3時に行くと、ガイドツアーにも参加することができます。
ガイドツアーは、通常のチケットがあれば予約・追加料金は必要ありませんが、定員に達してる場合は参加できません。
料金表(2024年4月時点)
一般 | 18歳以下 | EU加盟国の国籍を持つ、もしくはフランスに居住している18~25歳 | 同伴者付きの障害を持つ人 | 教育関係者 | 1・2・3・11・12月の最初の日曜日 |
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9€ | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
※無料で入場する場合、条件に該当することを証明する必要があります。
まずは上のリンクから、チケット購入サイトに行きます。
すると、このような画面が出てきます。
少し下にスクロールし、BOOK YOUR VISITをクリックします。
すると、チケットの種類を選択するページに行きます。
注意事項に、マスク必須・荷物は預けられない・チケットは印刷して持っていくか、携帯やタブレットで見せてくださいと書いてあります。
チケットの種類と枚数を選択します。
チケットは2種類あります。
大人は9€です。
18歳未満の人は無料ですが、パスポートなど、年齢を証明できるものが必要です。
筆者の場合、大人1人を選択しました。
チケット選択後、NEXTをクリックします。
その後、確認画面が出てきます。
内容が正しければ、CONFIRM YOUR ORDERをクリックします。
その後、メールアドレスを入力します。
入力後、CONTINUEをクリックします。
利用規約にチェックを入れます。
そして、PAY YOUR ORDERをクリックし、購入手続き画面に行きます。
支払方法を選択します。
選択肢は、CB・Visa・Mastercard・American Express・JCBがあります。
今回筆者は、CB・Visa・Mastercardを選択しました。
上から、カード番号・有効期限・セキュリティー番号を入力します。
入力後、SUBMITをクリックします。
購入手続きが完了すると、メールが届きます。
メールには、入場の際に必要なQRコードとPDFが付いています。
PDFはこのようになっています。
念のため、印刷して持っていくと安心です。
場所と行き方
サヴォア邸は、フランスのパリの郊外にある、ポワシー(Poissy)というエリアにあります。
ポワシーは、パリのzone5に位置しているため、zone5に行くことができるチケットを用意する必要があります。
上のリンク先のサイトが、一番交通機関のチケット購入方法が分かりやすいと思うので、参考にしてください。
ポワシー駅からは、徒歩で20~30分ほどで到着します。
もしくは、バスを使うことで直接サヴォア邸に行くこともできます。
ポワシー駅からは、34番と3番のバスでサヴォア邸に行くことができます。
2番のバスでも、サヴォア邸の近くまでは行けますが、4分ほど歩く必要があります。
営業時間
5月2日~8月31日:午前10時~午後6時 月曜休業
9月1日~4月30日:午前10時~午後5時 月曜休業
※最終入場は終了時刻の30分前まで
※5月1日、12月25日、1月1日は休業
基本情報
構造:鉄筋コンクリート造
敷地面積:10365㎥
建築面積:415.87㎥
延床面積:514.82㎥
建築家 – ル・コルビュジェ
ル・コルビュジエ – Wikipedia
サヴォア邸は、ル・コルビュジェ(Le Corbusier)という、スイス生まれで、主にフランスで活躍した建築家によって設計されました。
モダニズム建築に大きな影響を与え、近代建築の三大巨匠の1人として数えられています。
歴史的背景
サヴォア邸は、1928年にピエール・サヴォア夫妻が、息子や友人と楽しく週末を過ごすことができるコテージを建てたいという依頼から始まりました。
そこで選ばれた建築家が、ル・コルビュジェでした。
依頼主であるウジェニー・サヴォアが、実際に依頼したときの手紙には、コテージに反映して欲しい内容がいくつかありました。
暖かい水がでる・電気が通っている・ガスが使える・セントラルヒーティング・明るい雰囲気・床の仕上げなどがル・コルビュジェには求められました。
そして、従兄弟のピエール・ジャンヌレの協力のもとに計画を始めました。
サヴォア邸を建てる土地周辺は、非常に田舎だったので多くの自然に囲まれていました。
そこでル・コルビュジェは、土地の自然には極力手を付けず、まるで草原の上に置いてある、何も邪魔しないオブジェクトのような建物を、依頼主に提案しました。
しかし、初期の提案では予算が足りないことで、ル・コルビュジェはいくつもの案を提案し続けました。
最終案が決まったのは、なんと施工が始まった後でした。
しかしそのおかげで、ル・コルビュジェが当初に思い描いた内容に近づけることができました。
施工の際には、当時まだ開発されたばかりのコンクリートなどの材料を使う試みもされました。
当時の施工会社も、従来のヨーロッパの伝統様式に従っていたので、新しい方式で行うのは非常に大変でした。
プレキャストコンクリートなどのような高度な技術もなかったので、全ての作業は現場で行われました。
しかし結果として、ル・コルビュジェが掲げた、近代建築の5原則(後程詳細に解説)を実現することができ、歴史に名を遺す名作が完成しました。
しかし、完成後にピエール・サヴォア夫妻が実際に生活すると、水漏れや暖房が難しくなど、様々な問題が発見されました。
そのため、多くの苦情がル・コルビュジェに手紙で伝えられました。
多くの欠陥のため、ピエール・サヴォア夫妻は暖かい晴れの日などにしか訪れなかったそうです。
第2次世界大戦が始まると、サヴォア邸はドイツ軍に占領され、軍事的に利用されてしまいました。
最終的にはアメリカ軍によって奪還されましたが、サヴォア邸はひどく損傷していたため、修復が必要でした。
第2次世界大戦が終了すると、ピエール・サヴォア夫妻はこの土地を農地にし、サヴォア邸を貯蔵の役割として使うことにします。
1958年には、街がサヴォア邸の土地を学校を建てるために購入したため、取り壊されることになりました。
学校のプロジェクトが計画されている間は、若者のための文化施設として機能していました。
しかし、最終的には建築家達の活動により、サヴォア邸は保存されることになりました。
その後、さらなる修繕も行われ、1965年には民間建築モニュメントに指定され、歴史遺産となりました。
さらに2016年には、ル・コルビュジェの他の作品と共に、ユネスコの世界遺産にも認定されました。
そして、サヴォア邸は現在まで存続しています。
図面
サヴォア邸の図面を閲覧・画像として保存するだけであれば、上のサイトがおすすめです。
Villa Savoye – LeCorbusier :: Behance
このような図面を、上のリンクから閲覧できます。
パソコンであれば、画像を右クリックして保存することもできます。
サヴォア邸の図面を、CADデータでダウンロードすることもできます。
その場合には、この上のリンク先のサイトがおすすめです。
このサイトに行くと、このような画面が出てきます。
ダウンロードするには、DOWNLOADをクリックしてください。
すると、CADデータがダウンロードされます。
ダウンロードしたCADデータをCADで開くと、このようになっています。
今回はライノセラスで開きました。
ドミノシステム
Dom-Ino House – Wikipedia
ドミノシステムは、ル・コルビュジェが1914~1915年に提唱した、大量生産に適応した住居タイプです。
この名前は、domus(ラテン語で家という意味)と、dominoesという板状の遊び道具の2つから由来していると言われています。
従来のヨーロッパの建物の構造は、石やレンガを積み上げた組積造であり、設計の自由度が低く、開口部は少ししか開けられないなどの多くの問題を抱えていました。
このドミノシステムでは、当時新しい技術であったコンクリートを活用し、従来の問題のある建築方式からの脱却を目指しました。
ドミノシステムでは、鉄筋コンクリート造の床・床を支える柱・上下をつなぐ階段の3つの最小限の要素で構成されています。
これにより、大量生産が可能になるだけでなく、構造体と平面計画などが分離され、デザインの自由度が高くなりました。
そしてこのシステムは、サヴォア邸にも適応され、後に近代の建築大きく影響を与える近代建築5原則にもつながりました。
近代建築5原則
ル・コルビュジェは、積み上げてきた経験や研究をもとに、サヴォア邸を通して近代建築5原則を体現しました。
近代建築5原則
ピロティ | 自由な平面 | 自由な立面 | 独立骨組みによる水平連続窓 | 屋上庭園 |
ピロティ
ピロティは、地上階に柱を使うことで、建物を2階以上に押し上げる様式のことです。
よく誤解されますが、柱のことを表す意味ではありません。
ピロティを使うことで、地上階が開放的になり、人々の移動や、活動が生まれます。
サヴォア邸の場合、このピロティスペースは車の送迎の場としても活用されました。
また、建物のレベルが2階以上になることで、建物の中にいる人はまるで空中に浮いている・もしくは船に乗っている感覚になります。
外見的にも、地上階はボリュームが少なく、2階以上に建物が集中するため、まるで空中に浮いている箱のように見えます。
自由な平面
ル・コルビュジェが提唱したドミノシステムにより、従来の構造体であった壁を、構造にする必要がなくなりました。
垂直方向への構造体は柱のみで使われるので、壁を自由に配置することでき、自由な平面を可能にしました。
そのため、部屋の形やベランダなど、自由に設計できるようになりました。
自由な立面
ドミノシステムにより壁は構造体から解放されたため、外見であるファサードや立面を自由にすることができるようになりました。
外壁の厚さも自由でよく、さらに大きな開口を開けたりしても構造には影響せず、自由にすることができます。
また、そもそも外壁を置かないことも選択肢にすることができます。
サヴォア邸の場合、横長の開港や、水平連続窓を自由な立面により作成しています。
独立骨組みによる水平連続窓
コンクリートが生まれたことで、楣(まぐさ:窓やドア、開口部などを支える役割)を使う必要がなくなり、窓や開口部を自由に作ることもできるようになりました。
それにより、水平連続窓の実現を可能にしました。
水平連続窓により、水平に広がるパノラマの景色を見ることができ、さらに自然光をより取り入れることも可能になりました。
屋上庭園
従来のスタイルであった斜めの屋根が、コンクリートのおかげで水平にすることができるようになり、屋上でも日光浴や運動、植物菜園など、様々な活動ができるようになりました。
写真で見る
写真でサヴォア邸を見ていきましょう。
ポワシー駅からサヴォア邸への道は、とてものどかな雰囲気です。
サヴォア邸の敷地の入り口にある看板です。
こちらも一緒にありました。
この2枚が目印になります。
サヴォア邸の敷地に入りました。
敷地の入り口からサヴォア邸までは、とても自然豊かでしっかり整備されています。
しばらく歩くと、道が開けます。
すると、サヴォア邸が見えました。
正面からサヴォア邸を見ます。
サヴォア邸の横の様子です。
ピロティ空間がとても開放的です。
このピロティ空間では、車の送迎なども行われていました。
裏から見ている様子です。
サヴォア邸には裏から入ります。
1階にはいると、スロープが目に入ってきます。
1階では主に使用人が生活していました。
車の駐車スペースも、1階にあります。
左側には螺旋階段があります。
外壁がガラス素材でできているため、非常に明るいです。
自由な立面の良さがでています。
かつての駐車スペースです。
螺旋階段を見上げます。
スロープを上がっていきます。
踊り場からの景色です。
左から自然光が入っていて気持ちがいいです。
壁に開口があり、1階とつながります。
スロープから見える風景です。
2階に到着しました。
2階では、実際にピエール・サヴォア夫妻が生活していました。
バスルームが直接部屋につながっています。
西欧では、トイレと風呂が一緒になっていることがほとんどです。
入浴後に横になれる場所があります。
水平連続窓の様子です。
敷地の入り口方向を眺めます。
サヴォア邸では、色々なものを展示しているみたいです。
別の部屋へ向かいます。
収納が入口の目の前にあります。
収納の裏では机と椅子があり、収納に隠れているのでプライベートな空間になっています。
別の部屋に行きます。
配膳室の様子です。
キッチンの様子です。
配膳室とつながります。
キッチンから外に出れます。
広い部屋に来ました。
横のテラスに面するガラスと、水平連続窓によって、非常に明るい空間になっています。
ただ、暖房はやはり難しそうです。
暖かい日にしか、ピエール・サヴォア夫妻が利用しなかった理由も分かります。
バルコニーに来ました。
横長の開口から眺めると、本当に空中に浮いているか船に乗っている気分になります。
屋根がある外の空間です。
3階へのスロープを昇ります。
3階の屋上庭園に着きました。
まるで風景が絵画のように見えます。
屋上からの景色です。
戻るときは階段を使います。
1階に戻りました。
地下もあります。
1階の使用できるトイレです。
外に出ます。
まとめ
今回は、名建築のサヴォア邸の特徴やチケット予約方法を紹介しました。
是非この記事が皆さんのお役に立つと幸いです。
今回は以上になります。
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